社名 「ウッドシップ」の意味
私の故郷は、広島県の瀬戸内に面した海辺の小さな町です。そこは、かき養殖やいわし漁などがさかんで、私の幼いころ漁船はすべて木造船でした。わたしの父もその町で生まれそだち、船大工をやっておりました。いま思い返してみると、私が使った勉強机や本箱、食卓に椅子、棚からなんでも父の手づくりのものでした。今の、若い方だと羨ましいと感じられるかもしれませんが、当時の自分としては、ピカピカに塗装された既製品のほうに魅力を感じていて、家が経済的にも苦しかったせいもあり、既製品を買うことはできないのだと子供なりに観念していました。
その後、私は大学進学で東京にでてきて、就職も「ものづくり」とは全く関係のない財務、経理分野にすすみました。自分個人では決して手にすることのないであろう、膨大な金額とデータをコンピュータに向かって格闘していた30歳のころ、ある知人の家でのホームパーティーに招かれました。興がのるうち、木の縁側にだれかが出ようとしたとき、腐っている部分があり危ないのだと、誰か造り替えてくれる人はいないものかと、その知人は嘆いていました。そのとき、「私でよければ造ってあげるよ」とその場の勢いでやす請負をしてしまったのです。
でも、まったくの成算のないことではなくこのくらい造れるだろうという直感はありました。つぎの日曜日ホームセンターで材料とのこぎり釘かなづちを買い、軽トラも借り、その家に出向き制作にかかりました。夕方までかかりましたが、完成し知人も大変喜んでくれました。その知人はどうして私がそのようなものが造れたのかと不思議がります、思えば子供の頃あそびとして日常的に大工道具でなにかつくっていたその経験だけです。でもその経験が自分のルーツとして残っていたことに我ながら驚きました。そして無心でものづくりをしている時間の楽しさ。このとき私は自分のみちを発見したのです。そんななかいろんな本を読むうち、法隆寺宮大工棟梁、西岡常一氏著『木のいのち木のこころ』という本に出会います。今現在、どちらかというと社会的評価の低い技能者(職人)は、つい半世紀前までは高い知識と技術力と人格をもつと認められた存在であったと再認識をしました。
このたび、創業にあたっては、木の船と木匠の精神をもじってwood ship と称することと致しました。
お互いの顔がみえる家づくり
ウッドシップは、たとえれば”オーナーシェフの街の小さなレストラン”のような工務店です。
規模を追い求めるのではなく、個々の家族にとってのベストな家のかたちをひとつひとつ真剣に考え、ご提案させていただきます。
一般的には家づくりをすすめるにあたって、営業、設計、現場監督、職人と分業制でおこなわれていますが、ウッドシップでは私が一貫しておこなうので、竣工まで安心してなんでもご相談いただけます。
資金計画においては、ローンアドバイザーの私が最善の計画を立案いたします。また多摩産材を使うことによって金利の優遇がされる制度もご案内しております。
プランニングにおきましても、わたしたちの設計物件が住宅雑誌等に掲載されるなどの実績があり、妻の女性からの視点での設計も評価されてきました。今までに150棟あまり注文住宅の設計を手がけております。
建築工事のかなめとなる大工工事も、一級大工技能士の私が、技能・技術力の確かな者だけを抜擢しております。
小さな工務店ながら、家づくりの実力においては大手ハウスメーカーをしのいでいると、自信を持って言えます。
正しい家 正しい価格
私がつねづね感じることは、企業の利潤追求への抜きがたい執着が、すまい手にとっての家づくりを不十分なものにしてしまっていることです。、業界のプロである私の目からすれば、心底が透けて見えるのです。たばこを吸わない人には、喫煙者の体臭がすぐ分かるように。
テレビCMや営業マンに莫大な費用を投入し、実際に汗を流し家を造っている職方たちに対しては、力で請負単価を下げてゆく。お金をかけるべきところが逆なのです。
近年の建築現場のこころの荒廃はひどいものがあります。かつて、職人とはすまい手の幸せを願ってひとつひとつのものを大事に造っていたのですが、いまは皆無に近い状態です。またそうさせたのは、直接のつくり手ではない者たちが自分たちの利益を不当に上げようとしたからでもあります。役所や民間の検査員が3~4回チェックにきても、そこそこのものはできても、最高のものはできません。
職人の地位が下がり、収入も下がるにつれて、優秀な人材も集まらなくなりました。でも本来はドイツでマイスターとよばれるような、知識、技術、技能をかね備えたものが、一貫してひとつの家をつくることが、高品質でかつ廉価な住宅を提供できる方法なのです。それには、有名タレントやパパラッチのような営業マンは要らないのです。一流・大企業信仰から離れ、これからは自分の目と耳と見識と直感力で選んでゆくほうが賢明と思います。